東大落城 安田講堂攻防七十二時間
佐々淳行(著)
/文春文庫
作品情報
その日、日本中がテレビに釘付けになった。催涙ガス弾と放水にけむる安田講堂の時計台、顔をタオルで覆い、ヘルメットを被った学生たちが屋上から投げ下ろす人頭大の石塊、火炎ビンに灼かれた機動隊員の苦痛に歪む顔……その時、作家・三島由紀夫から緊急電話が! 時は「あさま山荘」事件の起こる3年前、昭和44年1月だ。全国民が注視した東大安田講堂の攻防戦に、警視庁の警備第一課長として臨んだ著者が、当時のメモを元につづった迫真のドキュメント。文藝春秋読者賞受賞作品。
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商品情報
- シリーズ
- 東大落城
- 著者
- 佐々淳行
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 1996.01.10
- Reader Store発売日
- 2011.10.14
- ファイルサイズ
- 1.4MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (36件のレビュー)
-
佐々淳行氏がなくなった。
もと警察官僚として危機管理問題についてTVでコメントする姿になじみがあるが、退官後の本業は作家。全共闘の安田講堂占拠事件を扱った本作を大学時代に読んで今も印象に残っている(以…下、うろ覚えの記憶で書く)。
反安保闘争が吹き荒れた年、学問の自由を守れ、警察権力をキャンパスに入れるな、と叫ぶ学生たちは研究室の設備を壊してバリケードを作り、貴重な文献を焚火にくべて暖をとった。大学に通う機会もなかった機動隊員こそ学術資料を傷つけないように搬出し、上空から浴びせられるガソリン、硫酸に立ち向かった、と著者は力説する。
安田講堂では過激派側、警察側ともに死者が出なかった。これは当時の世界的な社会運動とその制圧と比較して稀有なことであった(Kidotai、のノウハウはその後世界に輸出された)。そこには、以前の抗争(神田カルチェラタン?)の中でコンクリート片の直撃を受けて殉職した警官の教訓があったようだ。
葬儀のシーンが忘れられない。会場に参列している幼い子どもは遺族。並んだ警察官の列に白いさざ波が広がっている、よくみれば涙をぬぐう白い手袋が波打っているのだった。「ちくしょうバカ学生ども、こんな大きなコンクリートを頭の上に落として、当たったら死ぬに決まっているじゃないか。おれたにちも家族がいるんだぞ」。
それだけに、この本のラスト近く、秦野章警視総監が皇居で顛末を奏上する場面で、昭和天皇が発した言葉が深く胸を打つ。
もちろん闘争への評価は描く立場によって違うだろう。
娘が読んでいた宗田理「ぼくらの七日間戦争」、どんな本かと覗いてみたら、中学生が学校に反抗して立てこもり、安田講堂での「学生放送」を今こそ再現する、という物語だった。
この時代をどう捉えるか。ほんとうにひとそれぞれなのだった。続きを読む投稿日:2019.01.01
歴史上の出来事としてしか知らない東大安田講堂闘争の記録を読んでみた。
本書は機動隊の指揮官だった著者の立場で記されたレポで、現場第一線の記録ならではの生々しさと緊迫感があり、戦争小説のような興奮とスリ…ルがある。
全共闘組織、大学当局、警察組織、どの組織も問題だらけだったことが浮き彫りになっている。
些末なことだが、大学の教授陣へのディスりがおもしろい。権威的で官僚主義的な大学当局側の体質はツッコミどころ満載で、エネルギーを持て余した学生の格好のターゲットになってしまった背景に頷ける。
全共闘側で逮捕された370人のうち東大生は20人しかいなかったというのもズッコケどころ。まさに外人部隊で編成された組織だったことに加え、この件をまともに「総括」されていないとは。これ以後の世代の若者と断絶ができてしまった一因となっただろう。
事件後の天皇陛下の慈悲深いお言葉が印象的。
現場第一線で交戦していた機動隊員の苦労が偲ばれる。危険極まりなく、休みなく、安い給料で、野次馬や学生に死者が出ないように気遣いながらの警備がどれほど大変だったか。
当時の社会背景などにも触れられており、昭和史としても興味深い一冊だった。
続きを読む投稿日:2022.12.28
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