だれかのいとしいひと
角田光代(著)
/文春文庫
作品情報
転校生じゃないからという理由でふられた女子高生、ジミ・ヘンドリックスのポスターを盗みに元カレのアパートに忍び込むフリーライター、親友の恋人とひそかにつきあう悪癖のある女の子、誕生日休暇を一人ハワイで過ごすハメになったOL……。どこか不安定で、仕事にも恋に対しても不器用な主人公たち。何度傷ついても、もう二度と恋なんかしないと思っても、まただれかを愛してしまう……切ない8つの恋の形を描く短編小説集。
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商品情報
- シリーズ
- だれかのいとしいひと
- 著者
- 角田光代
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2004.05.10
- Reader Store発売日
- 2011.07.15
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 228ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (224件のレビュー)
-
ブクログのみなさん、naonaonao16gのファンの皆さま(一度言ってみたかった)、新年あけましておめでとうございます!
本年もどうぞ、よろしくお願い致します!
年を越えることを見越しての短編集を…選びましたが、本当に年を跨ぐとは…
クリスマスは1人でピザ、年末は忘年会ラッシュでいつも読書の時間にあてる電車の中では常に爆睡、3日連続でフェスに参戦するなど多忙を極め、なかなかゆっくり本を読む時間が取れず、結局読み終えたのは、実家でばあちゃんとこたつで過ごしたお正月でした。
だれかのいとしいひと
表題作よりも、わたしが好きなのは「誕生日休暇」で、わたしを救ってくれたのは「バーベキュー日和」で、これといった名言があるわけでなく物語が全体として刺さってきたのは「花畑」だった。
ラストに収録されている「海と凧」はさすがは角田さん、男女の関係性を描く天才とも言うべきか。誰かと生きていくってこういうことなんだよなぁ、と、じわり。
「誕生日休暇」の何がいいって、自分を守り続けるための習慣は安全だけれど、やっぱりそこにはスパイスが必要だよね、ってこと!それでこそ生きてて楽しいんだ!
とはいえわたしはいつもスパイスを求めすぎて、例えるならば胡椒をかけるところにいつもハバネロをかけているのだ。
2022年、わたしは胡椒と唐辛子とハバネロを上手く使い分けられるようになりたい…!
と、言っておきながら先日新年早々お酒を飲み過ぎてやらかしました(泣)
人ってそう簡単には変われませんね…
「バーベキュー日和」にある救い、それは、そんなこともあるよねって、自分のダメな部分を肯定してくれている感じ。
年末、カウントダウンライブで、サンボマスターが言ってたんです。
「あんたらがこの1年、クソだったことは一度もないんです」って。
自分のことを自分で貶めてしまうわたしには、その言葉はずぶずぶと入ってきて、そのまま涙となって溢れてきた。誰かにたくさん肯定してもらっても、なかなか抜けないこの思考。そう言われても…と自分を否定してしまう癖。
もうそれは自分で自分を肯定してあげるしかたぶんなくて、でも結局わたしはお酒を飲んで、まるで自傷行為でもするかのように自分を貶めてゲラゲラ笑ってる。これで自分を好きになる?正気?
わたしの中にどんどん溜まっていく、自分を好きになんてなれないエネルギー。
でも、そんな風でしかうまくやれない自分がいる。そうやって必死で生きてる自分がいる。可愛いじゃないか。
解説P227「どこかまちがっている。まちがっていて、僕みたいじゃないか」
そっと、わたしの心の中のどうしようもなさに寄り添ってくれる、どうしようもなさの存在を肯定してくれる作品でした。
「花畑」は、「人生っていろいろある」っていう、その「いろいろ」を、弟の交通事故から始まる不幸の連鎖という具体的なエピソードでもって表現していて、誰だってあの頃はよかった、であるとか、自分の人生こんなはずじゃなかった、っていうのをどこかで抱えていて、でもそれがその人の今の現実であって、過去のよかった頃にはもう戻れない。だからこそ今を一生懸命生きるしかないんだけど、でもどう足掻いてもきついししんどい。そんな時に寄り添い、背中を強く押してくれる作品でした。
「完璧なキス」
この作品を映画にしたいと思った。P169「吉祥寺東急の前にあるドトール・コーヒー」。その場所を、くっきりと思い浮かべることができる。
ドトール・コーヒーにいる間に脳内で繰り広げられる完璧なキスのことと、ドトール・コーヒーの前を行き交う人々の観察。27ページの短編は主人公の脳内では一時間以上で、わたしは夢中になって数分で読み終えてしまった。30分くらいの短編映画にしたい。主演は成田凌。
「海と凧」
わかるなぁ。この、誰かと居ることで苦しくなってしまう感じ。
1人の時間が欲しい、っていうのとは違う、意味のある1人。誰よりも誰かを意識してしまう1人。
P195「そうだ、あのときは思いもしなかったのだ、この扉が私たちのあいだで、何か意味を持って閉ざされることがあるなんて」
1人の時間が欲しい、ということと明確に違うもの。それは、「一緒にいたくない」だ。
今回、久々に帰省をした。
プライバシーというものに少しだけ欠けた我が家。
お風呂に入っていれば開けてくるのではないか、湯船に長くいると怒られるのではないか、遅くまで寝ていると部屋に入ってこられるのではないか。
そんなふうに、扉の外に意識を向け続ける。実家では一人でいる時の方が、よっぽど気を張る。
だから実家では、自分の部屋にいるよりも扉が閉まっていないリビングの方が気を張らなくて済む。実家にいながらこの作品を読んで、誰かを意識する中での読書ってあんまり集中できないってことを強く思った。
P192「私たちが合わないと気づかせるのは、習慣の違いではなくて、皮肉なことに、それらのことを言いながら相手の性質、もしくは存在を責めることができる、私たちのその後天的能力である。結局のところ、そんな特技を身につけたから、だがいの差異を許すことができないのだ」
解説もよかった。
解説を描いている桝野浩一さんが角田光代ファンというだけあって、文体のリズムなんかも角田さんを踏襲しているような感じが、読んでいて心地いい。
作品→あとがき→解説、と流れるようにするすると進んで読み終えることができた。
また、そのあとがきも収録の短編集「完璧なキス」と同じ構成になっていてエモい。舞台も吉祥寺っていうところも最高だ。
2002年単行本化。
名作は、20年経っても色褪せない。
人の心に、こうして残り続ける。続きを読む投稿日:2022.01.09
抽象画を見ているような感じ。
物語というより感情とか思いをフォーカスしているような作品。
恋愛(失恋?)に関する短編集。
全部どこか歪な愛というか、
だけどそこがすごくリアルで、
劇的な愛の作品も…多い中、
形のない感情だからこそいろんな恋愛があって、
その複雑な感情を作者の独特な表現に絵画的な魅力を感じました。
続きを読む投稿日:2024.03.23
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