遺品整理屋は見た!!天国へのお引越しのお手伝い
吉田太一(著)
/扶桑社BOOKS
この作品のレビュー
平均 3.6 (12件のレビュー)
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続編を読む
不動産競売関係を勉強しています。その時に、こういった「いわく付き物件」の処理は、どうやってされるのだろうか、との思いから読み始めました。
文章ではあるが、リアルに伝わってきます! いろいろな事件が部屋…や邸宅の中で発生して、売りに出される場合もあるでしょう。そんな裏側の事実を続けて読んでみました。
続きを読む投稿日:2014.01.08
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今、孤立死、遺体処理、遺品整理屋の本読んでるんだけど面白い。人って死んだ後の意識は無いからわからないけどそれが分かる感じ。死体をリアルで見るとPTSDになるだろうけど、文章なら大丈夫。人は死…ぬと肉体は溶けたりちぎれたり無くなったりとか知らなかったことばかり。
「誰でもいいから、話し相手がほしいというのはよくわかりますよ」 「そういう業者っていうのは、あれね。最初のうちは『おじいちゃん』とか『お父さん』なんて言ってまるで孫や息子みたいな顔して近づいていくのね。親身になって話だけ聞いてやって、ある程度の人間関係ができるまではぜんぜん商売の話はしないのよね。それで相手が自分を信頼するようになったところで、『実はこういうものがあるんだけど』ってやるみたい」 「それで、気がついたら契約書に判子を押させられていたというやつですね」 寂しいお年寄りの弱みにつけ込む、悪徳商法の典型的な手口です。しかし、口には出しませんでしたが、そうさせた責任の一端は家族にもあるはずです。 「奥さんは、気づかなかったんですか?」と聞いた私に、彼女はとんでもないというふうに首を振りました。 「私たちも『絶対に駄目よ』と散々言って聞かせてたんですよ。でも、それが逆効果だったみたいで、言ったら怒られると思ったんでしょうね、かえって何も言わなくなってしまって、隠れて契約するようになっちゃったんですよ」 「テレビのドキュメンタリーなんかでもよくやってますよね」 「ここ数年で一千万円以上ですよ! 通帳にだって、もうほとんどお金残ってないし」 一度、契約してしまうとその情報が回って、次から次にいろんな業種の営業マンが来るようになるという話はよく聞きます。事実、こういったケースは今回が初めてではありませんでした。最近は事前予約の見積もりや相談などで独居老人のお宅へうかがうことも多いのですが、だまされた人のほとんどが「えっ」と絶句するくらいの金額を平気で払っているのです。ここに来る数日前にうかがったお宅では、亡くなられたおばあさんが一枚八十万円もする毛布を買わされていました。
長くこの仕事をやっているとわかるのですが、独居老人はもちろん、ある程度の年齢に達した単身世帯者は一種独特な雰囲気を身にまとっています。孤独感や疎外感といったものを漂わせているのです。その空気は、ひと言も言葉を交わさなくても部屋の中に一歩足を踏み入れた瞬間にわかります。おそらく、悪徳業者などはそれを察知する能力に長けているのでしょう。彼らは言葉巧みに近づき、人の心の隙間に足をねじこみます。
前作にも六十八歳で家庭内暴力をふるう引きこもりの話を書きましたが、こうした自立できない熟年老年世代の引きこもりの問題は、世間が思っている以上に深刻です。ほとんど絶望感すら覚えてしまうほどです。最近の若者の引きこもりやニートの問題が取りざたされていますが、その根っこ(ルーツ)は想像以上に深いのです。
「他人事だと思っていたけど、こんなことになることがわかっていたらもっと友だちに連絡を取って、子供たちにもまめに電話していたでしょう。
そのときに会った管理事務所の方の話では、亡くなった女性は体が不自由でほとんど寝たきり状態で、五年ほど前からは会社を辞めたご主人が付きっきりで介護されていたらしいのですが、二十日ほど前からご主人がぷっつりと姿をくらましたまま行方知れずだということでした。ご主人は、ご近所でも評判の好人物で交際範囲も広かったそうですが、長年の介護の疲れがピークに達し、ついに心が折れてそのまますべてを放り出して家を出ていった……というのが真相のようでした。 その後、奥さんは食事や水も摂ることができず、放置された状態で亡くなっていたのですが、遺体が発見されたのはベッドの上ではなく台所の床でした。おそらく喉の渇きと空腹に耐えかねて台所まではってゆき、そこで力尽きたのだと思われり。
近頃遺品整理に関する相談や事前見積もりの依頼をされる方が急激に増えてきました。 中でも特に多いのが独身女性、いわゆる〝おひとり様〟の女性たちです。 お話をして感じるのは、みなさんの「そのへんの男には負けないわよ」という仕事意識の高さです。自宅を所有し、友だちも大勢いて、ある程度の資産もあって旅行や習い事などにもある程度自由にお金を使える……。将来は粗大ゴミ化するであろう旦那の世話をしたりわがままを聞くこともなく、優雅な生活を手に入れて、はたから見ればみんながうらやむ生活を送っていらっしゃいます。 しかし、その一方で自分の将来に一抹の不安を感じ、私どもの元へ相談のお電話をかけてこられる方が多いのです。
「では、息子さんは……」 「妹には事故だということにしておいたんですけど、実は自殺だったんです」 「…………!」 私は言葉を失いました。 「そのときから妹はガンで入院中だったので、まさか息子が自殺だなんてこと言えないでしょう。それで、事故だったのよって嘘を通してたんですけど……」
肉体的な衰えを感じる頃に定年を迎えて職場から離れ、特にこれといった趣味を持たず十分な蓄えも持っていない高齢者が単身世帯者として生活を始めると、その多くの方は遠慮がちで内向的な生活スタイルを送ってしまう傾向があります(同窓会などの集まりに参加することも遠慮がちになっていきます)。 そして自己主張をしたり他人と会話をしたりする機会をどんどん失っていき、ついには他人とのコミュニケーションが面倒だという感情や、〝どうせ自分なんか〟という開き直りというかいじけたような心境に陥ってしまうのです。
「四十歳くらいになると多くの人は、自分自身に体調の不安を感じてきます。親や親族の葬儀に参加する機会も少しずつ増えてきて、身近に死を意識し始めるんですね。だから、その時期に自分の十年、二十年後のことをあらためて考えてもらって、悲しい状況に陥らないようにすることを意識してもらえれば、効果が出てくると思うんですよ」 「そう言われればそうかもしれませんね」 「やはり介護のように自分自身で身の回りのことができない方には周囲の協力は大切でしょうけれども、寝たきりといった状況になる以前にそれを防ごうとする意識を持ってもらうことが大切だと思うんですよね。
読書が趣味だったのでしょう、図書館のシールが貼られた本が部屋のあちこちに置いてあって、その一部は遺体からしみ出した体液を吸って表紙が反り返っていました。 本の他に目についたのは、座卓の上に無造作に広げられた数十枚の写真でした。故人の年齢から推測すると三十年くらい前に撮ったのでしょう、そのほとんどが奥さんらしき女性と三歳くらいのお嬢さんの三人で写った家族写真でした。 しかし、部屋の中には「家族」の匂いのするものはなにひとつ残っていませんでした。 おそらく自分に死期が迫っていることを察した故人が、どこかにしまってあった昔の写真を見たくなったのでしょう。かつて幸せだったその頃のことを懐かしく思い出しながら亡くなっていったのか、それとも苦い後悔と共にか……それは本人のみぞ知ること。私には逆立ちしたってわかることではありません。
考えてみれば私も遺品整理という仕事を通して故人の生前の生活スタイルや生き様を推測しているわけですから、確かに解剖と似ているところがあるかもしれません。 ただし私は、推測することが仕事ではありませんし、故人やご遺族にとってみればおせっかいな話かもしれません。しかし、こういった孤独死の現場を観察してその原因を探ることが、悲惨な孤独死を減らすための貴重なデータとして役立っていることもまた事実なのです。
九州の玄界灘に面した、とある小さな町のアパートで自殺がありました。 鴨居にかけたロープによる首吊り。亡くなっていたのは二十代後半の男性です。 不動産屋さんの紹介で向かった現場に、依頼主である母親の姿はありませんでした。状況が状況だけに、自分は部屋の中に入ることはできないので電話でのやりとりとなったのです。続きを読む投稿日:2023.08.14
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